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手形割引まめ知識

手形割引と裏書譲渡の違いとは?手続き・書き方からリスク、仕訳まで専門家が徹底解説

この記事でわかること
  1. 手形割引と裏書譲渡の根本的な違いやそれぞれのメリット・リスクが、初心者にもわかりやすく理解できます
  2. 手形割引・裏書譲渡の正しい手続き・書き方や必要な印鑑、記載ミス時の対処法まで具体的に学べます
  3. 実務で必要な仕訳処理や、不渡り時のリスク管理・「でんさい」など現代的な手形処理にも対応できる知識が身につきます

「手形割引と裏書譲渡、言葉は似ているけど何が違うのだろう?」
「急いで現金が必要だけど、手形の手続きはリスクが大きそうで不安…」
中小企業の経営者や経理担当者の皆様の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
約束手形は便利な決済手段ですが、専門用語が多く、手続きを間違えると大きなトラブルにつながる可能性もあります。
特に「手形割引」と「裏書譲渡」は混同されがちですが、その目的もリスクも全く異なります。
自社の状況に合わせて最適な選択をしないと、かえって資金繰りを悪化させてしまうことにもなりかねません。
この記事では、手形取引の専門家が、手形割引と裏書譲渡の根本的な違いから、具体的な手続き、正しい書き方、経理処理、そして潜むリスクまで解説します。
この記事を最後まで読めば、もう手形の手続きで迷うことはありません。
安全かつ迅速に手形を現金化し、貴社の資金繰りを円滑にするための確かな知識が身につきます。

【結論】まずはここから!手形割引と裏書譲渡の根本的な違い

手形割引と裏書譲渡は、どちらも受け取った手形を活用する方法ですが、その目的と仕組みは根本的に異なります。
まず最初に、両者の違いを明確に理解しましょう。
以下の比較表で、それぞれの特徴を一目で確認できます。

比較項目 手形割引 裏書譲渡(回し手形)
目的 早期の現金化 支払手段
取引相手 銀行や手形割引業者 仕入先などの取引先
手数料 発生する(割引料) 発生しない
現金化のタイミング 即日〜数日 支払期日まで現金化されない
最大のリスク 不渡り時の買戻義務 不渡り時の遡及義務

このように、すぐに現金が必要な場合は「手形割引」、手元にある手形で支払いをしたい場合は「裏書譲渡」が適しています。

手形割引:金融機関に手形を買い取ってもらい「早期現金化」する手続き

手形割引とは、支払期日がまだ来ていない約束手形を、銀行や手形割引業者に買い取ってもらうことで現金化する金融サービスです。
最大の目的は、本来なら数ヶ月先まで受け取れないはずの売上金を、すぐに事業資金として確保することにあります。
このとき、手形の額面金額から支払期日までの利息に相当する「割引料」が差し引かれた金額が、あなたの会社に入金されます。
つまり、手数料を支払うことで、スピーディーに資金を調達する方法と言えます。

裏書譲渡:受け取った手形を「支払手段として」第三者に譲渡する手続き

裏書譲渡とは、取引先から受け取った約束手形を、自社の仕入先などへの支払いのために譲渡することです。
手形の裏面に必要事項を記入して署名・捺印することで、手形を受け取る権利が譲渡先に移ります。
この方法は「回し手形」とも呼ばれ、自社の口座から現金を出すことなく支払いができるため、資金繰りを円滑にする効果があります。
手形割引とは異なり、手数料が発生しない点が大きなメリットです。

手形割引の手続きと裏書の役割

「手形を割り引くのになぜ裏書が必要なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
実は、手形割引の手続きにおいて、裏書は法的に非常に重要な役割を果たします。
手形の権利が確かに割引業者へ移転したことを証明し、万が一の不渡り時に備えるために不可欠な手続きなのです。

手形割引に必要な裏書の種類

手形割引の際に求められる裏書は、一般的に「割引裏書」または「担保裏書」と呼ばれるものです。
これは、支払いのために手形を譲渡する「裏書譲渡」とは少し意味合いが異なります。
割引裏書は、「この手形を担保として、金融機関から融資(割引)を受けます」という意思表示です。
この裏書があることで、銀行や割引業者は安心して手形を買い取ることができるのです。

手形割引のメリットと注意すべきリスク

手形割引を利用する上でのメリットとリスクを正しく理解しておくことは非常に重要です。

項目 詳細
メリット - 迅速な資金調達:最短即日で現金化が可能で、急な資金ニーズに対応できる。
- 審査の柔軟性:銀行融資に比べ、振出人の信用力が高ければ審査に通りやすい。
注意すべきリスク - 不渡り時の買戻義務(遡及義務):万が一、手形が不渡りになった場合、割引を依頼したあなたが手形を買い戻す(全額返済する)義務を負います。

最大の注意点は、手形が不渡りになった場合のリスクです。
手形を割り引いて現金化した後でも、振出人が倒産するなどして支払いができなければ、その責任は割引を依頼したあなたに戻ってきます。
このリスクを「遡及義務(そきゅうぎむ)」と呼びます。

裏書譲渡(回し手形)のメリットと最大のデメリット「遡及義務」

裏書譲渡は手数料がかからず便利な方法ですが、手形割引と同様に「遡及義務」という重大なリスクを伴います。
このリスクを理解せずに安易に手形を回してしまうと、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

メリット:手数料なしで支払いができ、資金繰りが改善する

裏書譲渡の最大のメリットは、何と言っても手数料がかからないことです。
手形割引のように割引料を支払う必要がなく、受け取った手形の額面金額をそのまま支払いに充当できます。
例えば、月末に100万円の仕入代金の支払いが必要な場面を考えてみましょう。
手元に現金がなくても、取引先から受け取った100万円の手形を裏書譲渡すれば、支払いを完了できます。
これにより、銀行から借入をしたり、資金繰りに奔走したりする必要がなくなります。

デメリット(危険性):不渡り時に発生する「遡及義務」とは?

裏書譲渡における最大のリスク、それが「遡及義務」です。
これは、手形を譲渡した相手(被裏書人)だけでなく、それ以前のすべての裏書人に対して支払い責任を負うという、手形法で定められた強力な義務です。
万が一、手形の振出人が倒産して不渡りになった場合、最終的に手形を持っていた会社は、あなたを含む過去の裏書人全員に支払いを請求できます。
自分が直接の取引相手でなくても、過去に一度でも裏書をした以上、この支払い義務から逃れることはできません。
これが「裏書は怖い」「やばい」と言われる所以です。

【実践編】手形の裏書の正しい書き方|見本とよくある間違い

裏書は手形の権利を移転させる重要な法的行為です。
記載に不備があると、手形が無効になったり、意図しないトラブルに発展したりする可能性があります。
ここでは、実際の見本を見ながら、誰でも間違えずに書けるようにポイントを解説します。

裏書の基本|法人の場合・個人の場合の記載例

裏書の書き方は、法人の場合と個人事業主の場合で異なります。
特に、署名欄の記載方法に注意が必要です。

【法人の場合の記載例】

被裏書人名:手形を譲渡する相手の正式名称を記載します。
住所:自社の本店所在地を登記簿通りに記載します。
会社名:自社の正式名称を登記簿通りに記載します。
代表者:代表取締役などの役職と氏名を記載し、代表者印(法務局に登録した実印または銀行印)を捺印します。

【個人事業主の場合の記載例】

被裏書人名:手形を譲渡する相手の正式名称を記載します。
住所:事業所の住所または自宅の住所を記載します。
屋号・氏名:屋号があれば屋号を、なければ氏名のみを記載し、個人の実印または認印を捺印します。

使用する印鑑は実印?角印?銀行印?

裏書に使用する印鑑の種類は、トラブルを避けるために非常に重要です。
どの印鑑が適切か、以下の表で確認してください。

区分 適切な印鑑 不適切な印鑑
法人 代表者印(実印)または銀行届出印 会社の認印(角印)、担当者個人の印鑑
個人事業主 個人の実印または銀行届出印(屋号印も可) シャチハタなどのスタンプ印

会社の認印である「角印」は、法的な効力が弱いため裏書には使用できません。
必ず代表者の権限を示す印鑑を使用してください。

よくある記載ミスと正しい訂正方法

どんなに注意していても、記載ミスは起こり得ます。
しかし、間違った方法で訂正すると手形が無効になる恐れがあります。
正しい訂正方法をマスターしておきましょう。

ミス例 正しい訂正方法
文字の間違い
(会社名、住所など)
間違えた箇所に二重線を引き、その上または近くに正しい文字を記入し、訂正箇所に届出印を捺印します。修正液や修正テープは絶対に使用しないでください。
印鑑の押し間違い
(不鮮明、逆さまなど)
間違えた印影の横に、再度鮮明に捺印します。間違えた印影に重ねて押したり、二重線を引いたりする必要はありません。
被裏書人名の記載漏れ 譲渡先が未定のまま譲渡する「白地式裏書」となり、誰でも所持人になれてしまうため危険です。必ず譲渡先が決まってから記載してください。

 

【イレギュラー対応】裏書欄が満欄(いっぱい)になった場合の対処法

多くの会社を渡り歩いてきた手形(回し手形)では、裏書をするスペースがなくなってしまうことがあります。
これを「満欄手形(まんらんてがた)」と呼びます。
この場合、「補箋(ふせん)」と呼ばれる別の紙を手形に貼り付けて、裏書を続けることができます。
補箋は、手形の大きさに合わせた丈夫な紙(コピー用紙など)で作成し、以下の手順で手形に貼り付けます。

1. 補箋を作成し、手形の裏面の最終裏書欄と補箋のつなぎ目に、最終裏書人が割印を捺印します。
2. のりしろ部分を使い、手形の裏面にしっかりと貼り付けます。
3. 補箋の新しい裏書欄に、通常通り裏書を行います。

【経理担当者必見】手形割引・裏書譲渡の会計処理(仕訳)を徹底解説

手形割引や裏書譲渡を行った場合、経理担当者はこれらを正しく会計帳簿に記録する必要があります。
ここでは、具体的な取引例をもとに、実務で使える仕訳方法を分かりやすく解説します。

ケース1:手形を割り引いた場合の仕訳

取引先から受け取った額面100万円の約束手形を銀行で割り引き、割引料3万円が差し引かれて当座預金に97万円が入金された場合の仕訳です。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 970,000円 受取手形 1,000,000円
手形売却損 30,000円

ポイント
・割引料は「手形売却損」という営業外費用の勘定科目で処理します。
・これにより、受取手形という資産が減少し、当座預金と費用が増加したことが記録されます。

ケース2:手形を裏書譲渡した場合の仕訳(3つの方法)

仕入先への買掛金100万円の支払いのため、額面100万円の約束手形を裏書譲渡した場合の仕訳です。
実務では、最もシンプルな「直接減額法」が一般的です。

方法1:直接減額法(一般的)
資産である「受取手形」を直接減少させる方法です。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 1,000,000円 受取手形 1,000,000円

方法2:評価勘定法
「裏書手形」という負債勘定を用いて、遡及義務を帳簿上に残す方法です。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 1,000,000円 裏書手形 1,000,000円

方法3:対照勘定法
「裏書義務見返」と「裏書義務」など、対になる勘定科目を使って備忘記録を残す方法です。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 1,000,000円 受取手形 1,000,000円
裏書義務見返 1,000,000円 裏書手形 1,000,000円

手形割引と裏書に関するQ&A

ここでは、手形割引や裏書に関して、実務でよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 他社から裏書された手形(回し手形)でも割引できますか?
はい、可能です。
他社から裏書譲渡によって受け取った手形(回し手形)を、さらにあなたの会社が割引に出すことはできます。
ただし、その際には以下の点が金融機関によって審査されます。
・裏書の連続性:最初からあなたの会社までの裏書が、法的に正しくつながっているか。
・振出人や裏書人の信用力:手形を振り出した会社や、過去に裏書した会社の信用状態も審査の対象となります。

Q2. 結局、不渡りになったらどうなりますか?
手形が不渡りになると、遡及義務に基づき、手形所持人(最終的に手形を持っていた会社や銀行)から支払いを請求されます。
この請求に応じ、あなたは手形の額面金額を支払わなければなりません(これを「買戻し」と言います)。
支払った後は、あなた自身が今度は振出人や、あなたの前の裏書人に対して、その金額を請求する権利を得ます。
しかし、振出人が倒産している場合などは、回収が極めて困難になるのが実情です。

Q3. 最近よく聞く「でんさい」とは何ですか?手形とどう違う?
「でんさい」とは、電子記録債権の愛称で、紙の約束手形を電子化したものです。
手形が抱える様々な問題を解決するために生まれました。

比較項目 紙の約束手形 でんさい(電子記録債権)
形態 紙の証券 電子データ
印紙税 必要 不要
紛失・盗難リスク あり なし
分割 不可 可能(分割譲渡や分割割引ができる)
保管・郵送コスト 必要 不要

でんさいは、コスト削減や業務効率化の観点から導入する企業が増えています。
手形取引が多い場合は、でんさいへの移行を検討するのも良いでしょう。

手形の現金化でお悩みなら、実績豊富な専門家にご相談ください

この記事では、手形割引と裏書譲渡の違い、それぞれのメリット・リスク、そして具体的な手続きについて解説してきました。
両者は似ているようで全く異なる手続きであり、自社の資金繰りの状況に合わせて慎重に選択する必要があります。

・すぐに現金が必要なら「手形割引」
・支払いに充当したいなら「裏書譲渡」

どちらの方法を選択するにせよ、「不渡り」の際には遡及義務という重大なリスクが伴います。
特に裏書譲渡は、振出人の信用力を正確に見極めなければ、自社を危険に晒すことになりかねません。
このような複雑でリスクの伴う手形取引は、安易に自己判断せず、信頼できる専門家に相談することが最も安全な解決策です。
弊社、株式会社リプルは、創業から26年間、累計10,352社の中小企業の資金繰りをサポートしてきた手形割引の専門家です。

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この記事を書いた人

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中屋 弥

職業:WEBコンサルティング会社代表兼最高財務責任者

トヨタ東京カローラ株式会社、株式会社GMOインターネット、その他ITベンチャーにおいて取締役兼財務管理担当などを経て、WEBコンサルティング会社を経営。
現在は経営の傍ら、金融系コラムを寄稿する事を主として活動。

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