手形を盗まれたり、紛失しても、それによって直ちに手形上の権利を喪失するわけではありませんが、その手形が盗まれたり、紛失した手形であることを知らない第三者(善意の第三者)に渡った場合、善意の第三者から支払を求められれば、振出人は支払わなければなりません。
手形の盗難・紛失等の事故が発生したら、急いで次の手続をしなければなりません。
- 銀行へ連絡する。
銀行へ、紛失あるいは盗まれたことを連絡し、その手形の支払のストップを依頼します。手形を振り出してから受取人に渡す前に事故があった場合は、振出人が銀行に「手形類支払差止依頼書」(事故届)を出します。一方、受け取った手形が事故にあった場合は、まず、手形振出人に連絡し、振出人から支払銀行に事故届を出してもらい、その手形の支払を差し止めてくれるよう依頼します。 - 警察に被害届を出す。
銀行に連絡するとともに、警察に手形の紛失届あるいは盗難被害の被害届を出します。 銀行に事故届を出す時に警察に被害届を出した証明が必要になることもありますが、何よりも早く紛失手形を発見し、また犯人逮捕をしてもらって手形が他人に渡るのを防ぐためです 。 - 裁判所に公示催告の申立をする。
紛失した手形や盗まれた手形を無効にする手続です。公示催告の申立をし、除権判決を出してもらうと、その手形は無効になり、無くした人はその判決により手形金を請求できます。