経済産業省は紙の約束手形について2026年をめどに手形廃止を通達しました。手形廃止をして現金での振り込みや電子手形への移行を呼びかけています。なぜ紙の約束手形廃止がされるようになったのか、ポイントを抑えながら仕組みなど詳しく説明していきます。
手形とは相手先が、取り決めた金額を期日までに支払うことを交わしたとても重要な証書です。商品やサービスを買った側は支払いの猶予があるので手元の資金を保有することができる仕組みになります。
手形には「支払手形」・「約束手形」・「為替手形」の3種類に分けることができ、どれも決められた日に支払わなければなりません。
経済産業省は2026年に紙の手形廃止する意向を示しました
引用元:朝日新聞デジタル
手形は支払いまでの期限が長く、中小企業・零細企業などの小さな規模の会社は、支払い期日が長いと資金繰りが難しくなってくるので産業界や金融業界へ手形廃止の対応を2026年までにすることを求める意向を出しました。
紙の手形は、紙代・印刷・郵送代・保管しておくための費用などがかかり、失くすリスクもあるので現代に向いていない方法だとして紙の手形廃止することになりました。
なぜ2026年かというと、手形廃止の目途を数年後に指定することで、各企業手形廃止に対応できる期間をつくっています。手形廃止になると、現金振り込みやインターネットでのやりとりができる電子手形への移行をすることになります。電子手形のメリットは、紙や印刷・郵送代・保管費用などを削減することができて、紙のように紛失する心配がないことです。電子手形は手数料を引き下げたり、支払い完了日までの期間を最短7営業日から3営業日まで短かくすることにより、さまざまな企業が普及できるようにしています。電子手形に移行することは、強制ではないのでいろいろな企業の理解が必要になります。手形廃止をして電子手形を浸透させるにはどうすればよいか2026年まで課題が残っています。
約束手形とは振り出した人が、一定の金額を決められた期日に支払いを行うことを約束することで、振出人が支払いの期日まで支払いを待ってもらうシステムになります。受け取った人は、支払い期日まで待つ必要があります。振出人に金額を請求することも可能で、その手形を第三者に譲り渡すこともできます。これを手形の裏書きと言い、用紙の裏面に欄があるので、譲渡した人が署名・捺印をします。
これは有価証券になり、小切手と同じカテゴリーとなります。手形と小切手の違いは換金できるタイミングが違ってくることになり、
小切手の場合は受け取った相手が銀行に持っていくとすぐに現金化できるといったメリットがあります。
約束手形を使えるようになる為には、銀行に当座の預金口座を持つ必要がありますが、当座の口座を作成するには、銀行の審査に通る必要があり、この審査が普通預金の口座を作成するときよりも審査が厳しいので、どんな会社や企業でも当座の口座を持てるわけではありません。また手形は銀行残高に関係なく自由な金額を発行することが可能で、現金化するときに当座に現金が無い場合は、不渡りになってしまうので注意が必要になります。
でんさいとは手形にかわる電子決済のことで、紙の手形の問題点をクリアにすることができるシステムになります。2026年までに手形廃止をして電子手形に移行を推奨しています。
手形廃止によって現物管理・手続き・印紙・押印・封入・発送などの手間を省くことができるので、業務の効率を向上させることができます。でんさいを導入すると印紙税が課税されないことや郵送にかかるコストを削減することが可能となります。また手形廃止によってペーパーレス化になるので、大事な証書を紛失することもなくなり、盗難に遭うこともないので安心できます。また、災害がおきたときにも電子決済はとても強いという利点もあるので手形廃止を推奨しています。
手形・振り込み・一括決済など複数の支払い手段をまとめることができ、手形廃止などをすることによって決済がすべてオンライン上となり、業務がスムーズに行うことが可能です。手形廃止をすると受け取り側にもメリットがあり、領収書に貼る印紙代や領収書を発行するときの郵送代のコストを削減することができます。ウェブ上で債権内容を確認するだけなので、取引先からの手形受け取りの手間や金融機関への取り立ての依頼業務をする必要がなくなり、時間と手間を削減することが可能です。
このような理由から2026年までにでんさいへの移行が推奨されています。
手形廃止をしてでんさいを導入するとペーパーレスになり、資源を大切するといった目的もあります。手形廃止をすると紙の保管をしなくて良いので、物理的な現物がないので、保管が簡素化されます。さらに手形廃止によって保管のための金庫などが必要でなくなったり、保管に必要な物を揃えることもないので、コストがかかりません。電子手形は電子債権記録機関という国が認可した民間企業が運営をしているので、セキュリティの対策が万全になっており、紙の手形よりも安全に取引することができるので手形廃止を推奨しています。
紙の手形は期日になると銀行に出向く必要があったのですが、有効期限を忘れてしまった場合代金の支払いを受けられなくなってしまうことがあります。しかし電子手形を運営しているところは、ファックスや電子メールで通知が入るシステムになるので、支払いを確実に受けることができます。分割して利用することも可能で、電子手形であれば1円単位で分割することが可能になります。
デメリットは、パソコンをあまり活用していない中小企業や零細企は、電子手形のシステムの導入をすることが負担になる可能性があります。不正アクセスを防ぐために、ログインが面倒になっていることもデメリットになります。
2026年に紙の手形から電子手形に移行することを国は推奨していますが、どの企業も本格的に導入していないことが課題になります。
企業が普及しやすくなるために、”手形廃止をすることで発生する利点”をわかりやすく提示する必要があります。
手形廃止でコスト削減や紙の手形を作成するときにかかっていた手間などを減らせることを理解してもらい、積極的に導入するようにすることが大切です。新しい制度であるがゆえに不安になっている企業も多く、不正アクセスなどの問題を解消できるように説明することも必要です。手形廃止をして電子手形を導入している企業でも、100パーセント電子手形に移行しているところが少ないことも課題です。現状ではすべての取引先の理解を得ることが難しいため、すべて電子手形にかえることが難しいといった理由があります。そもそも手形の発行が少ない企業が電子手形を導入するメリットが少ないことも理由のひとつです。裏書き譲渡をする場合でも相手先が電子手形を導入していない場合があるので、手形廃止ができないことがあります。これらの課題を解消することで、電子手形を広く普及させていくことが大切になります。
紙の手形には良い点も悪い点もあります。作成するには事務作業が多いことや印紙代や郵送代などのコストがかかることがデメリットになります。電子手形を導入するとコストの削減が可能になり、事務作業の負担も軽減することができるので、その分他の業務を行えて業務の向上を図ることができます。紙の手形に慣れている人などは電子手形を導入することが難しいことがあるので、2026年までに普及を広めるにはさまざまな課題をクリアにすることで、電子手形が広がるでしょう。電子手形は利点が多いので、もっと導入する企業が増えることが理想になります。
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