手形割引の豆知識

銀行の手形割引審査を完全ガイド|通過する5つのポイントと落ちる理由を専門家が解説

銀行の手形割引審査を完全ガイド|通過する5つのポイントと落ちる理由を専門家が解説

急な資金需要が発生し、手元にある手形を銀行で割り引いて現金化できないかと考えている方も多いでしょう。しかし、銀行の審査は厳しいと聞き、どのような基準で判断されるのか、そもそも自社が審査に通るのか、不安に感じるのは当然のことです。

この記事では、銀行の手形割引審査で何が重要視されるのか、その具体的な評価基準から手続きの流れ、そして万が一審査に落ちた場合の対策までを網羅的に解説します。専門的な内容も、できるだけ平易な言葉で説明していきます。

そもそも手形割引とは?銀行審査の前提となる仕組みを理解しよう

手形割引の審査基準を理解するためには、まずその仕組みを知ることが不可欠です。銀行がなぜ厳しく審査を行うのか、その背景にあるリスクを把握することで、審査のポイントがより明確になります。

手形割引の仕組みと銀行が抱える「償還請求権」のリスク

手形割引とは、支払期日がまだ先である「受取手形」を、銀行や手形割引専門業者に買い取ってもらい、早期に現金化する資金調達方法です。手形を担保にお金を借りる、融資に近い取引と考えると分かりやすいでしょう。

この取引で最も重要なのが「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」です。もし手形の振出人が倒産などで支払い不能(不渡り)になった場合、銀行は手形を割り引いた企業(割引依頼人)に対し、手形代金の買い戻しを請求できます。これが償還請求権であり、銀行にとっては貸し倒れを防ぐための重要な権利です。

そのため銀行の審査は、「この手形は期日にきちんと決済されるか(振出人の支払い能力)」、そして「万が一不渡りになっても、割引依頼人は買い戻せるか(依頼人の支払い能力)」という2つの視点で厳しく行われるのです。

「手形取立」との違いは現金化のタイミングと手数料

手形を現金化する方法には、手形割引のほかに「手形取立」があります。この2つの最も大きな違いは、現金化できるタイミングです。手形割引が期日前に現金化するのに対し、手形取立は支払期日に銀行を通じて現金化する手続きを指します。

両者の違いを以下の表にまとめました。

項目 手形割引 手形取立
現金化のタイミング 支払期日前 支払期日当日
目的 早期の資金調達 期日通りの代金回収
手数料 割引料(利息に相当)がかかる 安価または無料の場合が多い
審査 厳しい審査がある 原則として審査はない
主な利用シーン 急な資金需要が発生したとき 資金繰りに余裕があるとき

急いで資金が必要な場合は「割引」、期日まで待てる場合は「取立」と覚えておくと良いでしょう。

銀行の手形割引審査で最重要視される3大要素【評価基準を具体的に解説】

銀行の手形割引審査は、主に3つの要素から総合的に判断されます。それは「手形の振出人」「割引を依頼する企業」、そして「手形そのもの」の信頼性です。ここでは、それぞれの要素で銀行が具体的にどこを見ているのかを詳しく解説します。

【要素1】振出人(手形発行元)の信用力・支払い能力

審査において最も重要視されるのが、手形の支払義務者である振出人の信用力です。銀行は、振出人が期日通りに支払いを行えるかを慎重に見極めます。

評価項目 具体的な確認内容
企業信用調査 帝国データバンクや東京商工リサーチなどの調査会社の評点を重視します。例えば、TSR評点が 50点 以上など、一定の水準が求められる傾向にあります。
財務状況 決算書から収益性や安全性を分析し、経営状態が悪化していないかを確認します。
取引履歴 過去の不渡り履歴がないか、銀行取引停止処分を受けていないかを調査します。
業界での評判 業界内での地位や、主要取引先との関係性なども考慮されます。

振出人が上場企業や優良企業であれば、信用力は高いと判断され、審査に通りやすくなります。

【要素2】割引依頼人(あなた)の信用力・買い戻し能力

次に重要なのが、割引を依頼する企業自身の信用力、つまり「買い戻し能力」です。万が一、手形が不渡りになった場合に、償還請求に応じられる財務的な体力があるかが問われます。

評価項目 目安となる財務指標 評価のポイント
安全性 ・自己資本比率:30% 以上
・流動比率:150% 以上
倒産しにくさ、短期的な支払い能力があるか。
収益性 ・営業利益率、経常利益率が黒字 継続的に利益を出せる事業構造か。
資金繰り ・安定した営業キャッシュフロー 日々の事業活動で資金を生み出せているか。
銀行との取引実績 - 融資の返済遅延がないか、安定した預金取引があるか。

特にメインバンクに依頼する場合、これまでの取引実績が評価に大きく影響します。日頃から良好な関係を築いておくことが大切です。

【要素3】手形自体の正当性と取引の実態

振出人と依頼人の信用力が高くても、手形そのものに問題があれば審査には通りません。手形が法的に有効であること、そして実際の商取引に基づいていることが絶対条件です。

記載内容の正確性
・振出日、支払期日、金額、署名・捺印など、手形法で定められた要件がすべて満たされているか。
・金額の訂正が適切な方法(二重線と訂正印)で行われているか。

取引の実態(成因の明確性)
・その手形が、実際の商取引に基づいて発行されたことを証明する必要があります。
・単に資金を融通するためだけの「融通手形」と疑われると、審査は非常に厳しくなります。
・証明のために、注文書、請求書、納品書、契約書といった取引の根拠となる書類の提出が求められます。

これらの書類をきちんと保管し、取引の経緯を説明できるようにしておくことが重要です。

銀行での手形割引、申し込みから現金化までの全手順と必要書類

ここでは、実際に銀行で手形割引を申し込む際の手順と、準備すべき書類について解説します。全体像を把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

ステップ1:取引銀行への相談・申込

まずは、普段から取引のあるメインバンクに相談するのが基本です。自社の事業内容や財務状況を把握してくれているため、話がスムーズに進みやすいでしょう。相談の際は、割引を希望する手形の「振出人」「額面金額」「支払期日」を伝えます。

ステップ2:審査と必要書類の提出

申し込み後、銀行による審査が開始されます。審査期間は、振出人や依頼人の状況、銀行との取引実績によって異なりますが、一般的には数営業日を要します。新規の取引や割引枠を超える場合は、さらに時間がかかることもあります。

ステップ3:契約・入金

無事に審査を通過すると、銀行との間で手形割引の契約手続きを行います。契約書に署名・捺印し、割引対象の手形を裏書譲渡(手形の裏面に署名・捺印)して銀行に渡します。契約完了後、手形の額面金額から割引料が差し引かれた金額が、指定の口座に入金されます。

【チェックリスト】手形割引の必要書類一覧

審査を円滑に進めるためには、必要書類を事前に準備しておくことが大切です。一般的に求められる書類は以下の通りです。

銀行によっては、これ以外の書類を求められる場合もありますので、事前に担当者に確認しましょう。

書類名 概要・提出目的
手形現物 割引対象となる約束手形そのもの
割引申込書 銀行所定の申込用紙
商業登記事項証明書 会社の正式な情報を証明するため
印鑑証明書 契約に使用する印鑑が本物であることを証明するため
決算書(通常2期分) 割引依頼人の財務状況を確認するため
成因を裏付ける書類 注文書、請求書、契約書など、取引の正当性を証明するため

銀行の審査に落ちる主な理由と対策

万全の準備をしたつもりでも、審査に通らないケースもあります。ここでは、審査に落ちてしまう主な理由と、そうならないための対策を解説します。

審査に落ちる理由 具体的な状況 事前の対策
理由1:振出人の信用懸念 ・振出人が赤字決算や債務超過である
・過去に不渡り履歴がある
・信用調査会社の評点が低い
日頃から取引先の与信管理を徹底し、経営状態に不安のある企業からの手形は受け取らないようにする。
理由2:依頼人の能力不足 ・割引依頼人が連続赤字や債務超過
・税金の滞納がある
・他の借入が過大である
健全な財務体質を維持する。銀行との取引実績を積み重ね、良好な関係を築いておく。
理由3:取引実態の不明瞭 ・成因資料(請求書等)を提出できない
・取引内容が複雑で説明できない
・融通手形と判断された
商取引に関する書類は必ず保管し、取引の経緯を明確に説明できるよう準備しておく。

手形割引の気になる疑問を解消!Q&A

ここでは、手形割引を利用する際によくある疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q1. 手数料(割引料)の相場と計算方法は?

銀行の手形割引料率は、振出人や依頼人の信用力によって大きく異なりますが、一般的に年率 1.0%〜5.0% 程度が相場です。割引料は、以下の計算式で算出されます。

割引料 = 手形額面金額 × 割引率(年率) × 支払期日までの日数 ÷ 365日

例えば、額面 100万円 の手形を、割引率 年率 3.0% で、支払期日の 60日 前に割り引いた場合、割引料は「1,000,000円 × 0.03 × 60日 ÷ 365日 ≒ 4,931円」となります。

Q2. 取引先(振出人)に割引の事実はバレる?

原則として、銀行から振出人へ手形割引の事実が通知されることはありません。
そのため、割引を利用したことで取引先に資金繰りの悪化を勘繰られる心配は、基本的に不要です。銀行には守秘義務があり、顧客情報を外部に漏らすことは固く禁じられています。

Q3. 会社の信用情報への影響は?

手形割引は借入ではないため、利用した事実が信用情報機関に登録されることはありません。したがって、手形割引を利用したこと自体が、将来の融資審査などに悪影響を及ぼすことはありません。ただし、万が一手形が不渡りになり、買い戻し義務を履行できなかった場合は、事故情報として登録されるリスクがあります。

Q4. 銀行の「手形割引枠」とは?

手形割引枠とは、銀行が企業ごとに設定する手形割引の上限額のことです。企業の財務状況や取引実績などを基に、「この会社なら、最大〇〇円まで手形を割り引いても大丈夫だろう」という与信枠が設定されます。この枠内であれば、比較的迅速かつスムーズに審査が進む傾向にあります。

もし銀行の審査に通らなかったら?2つの代替策

銀行の審査が厳しく、残念ながら割引を断られてしまう可能性もゼロではありません。その場合に備えて、他の資金調達方法も知っておくと安心です。

選択肢1:手形割引専門業者を利用する

銀行以外に、手形割引を専門に扱うノンバンクの業者も存在します。銀行に比べて審査基準が柔軟で、よりスピーディーに現金化できるのが特徴です。

項目 銀行 手形割引専門業者
審査基準 厳しい 比較的柔軟(主に振出人を評価)
割引料率 低い(年率 1.0%〜5.0%) 高い(年率 4.0%〜15.0%)
スピード 数日〜1週間程度 最短即日

ただし、割引料率は銀行よりも高くなる傾向があるため、利用は慎重に検討する必要があります。利用する際は、必ず貸金業登録を受けている正規の業者を選ぶようにしましょう。

選択肢2:ファクタリングを検討する

ファクタリングは、手形ではなく「売掛債権(請求書)」を売却して資金化する方法です。手形割引との最大の違いは、償還請求権がない(ノンリコース)点です。

項目 手形割引 ファクタリング
対象資産 受取手形 売掛債権(請求書)
償還請求権 あり 原則なし
手数料 比較的安い 比較的高め
不渡り・倒産リスク 割引依頼人が負う ファクタリング会社が負う

万が一、売掛先が倒産しても買い戻しを求められることがないため、よりリスクを抑えた資金調達が可能です。手元に割引できる手形はないが、売掛債権はあるという場合に有効な選択肢となります。

まとめ:銀行審査のポイントを押さえて円滑な資金調達を

銀行の手形割引審査は、確かに厳格なプロセスを経て行われます。しかし、銀行がどこを評価しているのかを正しく理解し、事前に対策を講じることで、通過の可能性は大きく高まります。

・最重要ポイントは「振出人の信用力」と「自社の買い戻し能力」
・取引の正当性を証明する「成因資料」を必ず準備する
・日頃から銀行と良好な関係を築き、健全な財務を維持する
・万が一に備え、手形割引専門業者やファクタリングも選択肢に入れる

手形割引は、急な資金需要に応えてくれる心強い味方です。この記事で解説したポイントを参考に、まずは取引銀行の担当者に相談してみてはいかがでしょうか。

なお、経済産業省は 2026年度末をめどに紙の手形を廃止する方針を示しています。今後は、電子記録債権(でんさい)など、新たな決済手段への移行も視野に入れた資金計画を立てていくことが重要になるでしょう。

ご不明なことがございましたら、いつでもご説明いたしますので

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