手形割引の豆知識

手形割引の枠・受取額の計算方法|シミュレーションと極度枠の決まり方を解説

手形割引の枠・受取額の計算方法

お手元の受取手形をすぐにでも現金化したいけれど、「結局いくら手元に入るのか」「そもそも自社はいくらまで割引してもらえるのか」が分からず、一歩を踏み出せないでいるかもしれません。
手形割引は、急な資金需要に応えてくれる心強い手段ですが、その計算方法や利用できる「枠」の決まり方は少し複雑です。

この記事では、手形割引の専門知識がない方でも理解できるよう、受取額の計算方法から金融機関が設定する極度枠の仕組みまで、図や表を交えて解説します。

そもそも手形割引とは?融資との違いや仕組みをわかりやすく解説

手形割引とは、支払期日がまだ先の約束手形を、銀行や手形割引専門業者に買い取ってもらうことで早期に現金化する資金調達方法です。期日までの利息に相当する「割引料」が手形の額面金額から差し引かれ、その残額が支払われます。

法律上は手形の売買ですが、実態としては手形を担保にした短期融資に近い性質を持っています。そのため、もし手形の振出人(支払人)が倒産などで支払えなくなった場合(不渡り)、手形を割り引いた側が金融機関にお金を返す義務を負います。

手形割引とファクタリングの違いは「買い戻し義務」の有無

手形割引とよく似た資金調-達方法に「ファクタリング」があります。これは売掛債権(請求書)を買い取ってもらうサービスですが、最も大きな違いは「買い戻し義務」の有無です。

手形割引では、手形が不渡りになると買い戻し義務が発生します。一方、一般的なファクタリングでは、売掛先が倒産してもその責任を負う必要はありません。

項目 手形割引 ファクタリング
対象資産 約束手形 売掛債権(請求書)
仕組み 手形を担保とした融資 売掛債権の売買
買い戻し義務 あり(不渡り時) なし(償還請求権なしの場合)
審査の主な対象 手形の振出人 + 割引依頼人 売掛先(取引先)
手数料/割引料 比較的低い傾向 比較的手数料が高い傾向

手形割引の受取額はいくら?計算方法を3ステップで解説

手元に入る金額(受取額)は、簡単な3つのステップで計算できます。ここでは、誰でも計算できるよう、順を追って解説します。

<計算シミュレーター(入力例)>

手形額面金額 1,000,000円
割引率(年率) 3.0%
割引日数 90日
割引料(自動計算) 7,397円
受取額(自動計算) 992,603円

ステップ1:割引料を計算する【割引料 = 額面 × 割引率 × 日数 ÷ 365】

まず、金融機関に支払う手数料である「割引料」を計算します。計算式は以下の通りです。

割引料 = 手形額面金額 × 割引率(年率) × 割引日数 ÷ 365日

「割引日数」とは、手形を現金化する日から、手形の支払期日までの日数のことです。

計算例
手形額面金額 3,000,000円
割引率(年率) 2.5%
割引日数 60日
計算式 3,000,000円 × 2.5% × 60日 ÷ 365日
割引料 12,328円

ステップ2:手形額面から割引料を差し引く【受取額 = 額面 - 割引料】

次に、算出した割引料を手形の額面金額から差し引きます。これが、最終的に手元に入金される金額(受取額)です。

受取額 = 手形額面金額 - 割引料

上記の例で計算すると、以下のようになります。

3,000,000円 - 12,328円 = 2,987,672円

計算の鍵となる「割引率」の相場は?銀行と業者で比較

割引料を計算する上で最も重要なのが「割引率」です。これは金融機関の審査によって決まり、依頼先によって大きく異なります。
一般的に、審査が厳しい銀行は割引率が低く、審査が柔軟な手形割引専門業者は高くなる傾向があります。

依頼先 割引率の目安(年率) 特徴
都市銀行・地方銀行 1.5% ~ 4.0% 審査が厳格で時間がかかるが、金利は低い。取引実績が重要。
信用金庫 2.0% ~ 5.0% 地域密着型で、比較的相談しやすい。取引実績が評価されやすい。
手形割引専門業者 4.0% ~ 15.0% 審査がスピーディで柔軟。銀行で断られた手形も扱える場合がある。

【本記事の核心】あなたの会社の手形割引「枠(極度枠)」はこう決まる

手形割引を継続的に利用する場合、金融機関は「極度枠」という利用限度額を設定します。この枠内であれば、毎回厳しい審査を経ずに、スムーズに手形を現金化できます。この極度枠がどのように決まるのかを知ることは、安定した資金繰りのために非常に重要です。

枠の基本額を算出する計算式【極度枠 = 平均月商 × 手形比率 × 手形サイト】

極度枠の基本となる金額は、企業の事業規模や取引実態を示す客観的な数値から算出されます。計算式は以下の通りです。

極度枠の基本額 = 平均月商 × 手形比率 × 手形サイト

それぞれの項目を理解すれば、自社の極度枠を大まかに予測できます。

要素 内容 自社の数値の確認方法
平均月商 年間の売上高を12で割った、1ヶ月あたりの平均売上高です。 決算書や試算表の売上高を確認します。
手形比率 全売上のうち、手形で回収している金額の割合です。 売掛金の回収データから、手形での入金額と全体の入金額を比較します。
手形サイト 手形の振出日から支払期日までの平均的な期間(月数)です。 保有している手形のサイトを確認し、平均値を算出します。

計算例

平均月商:2,000万円
手形比率:40% (0.4)
手形サイト:3ヶ月
極度枠 = 2,000万円 × 0.4 × 3 = 2,400万円

算出された枠を左右する2つの「信用力」評価(振出人と自社)

上記の計算式で算出されたのは、あくまで基本額です。最終的な極度枠は、この基本額に加えて、以下の2つの「信用力」の評価によって調整されます。

手形の振出人の信用力:支払能力があるか
割引依頼人(自社)の信用力:万が一の際に買い戻せるか

金融機関はこれらの信用力を総合的に判断し、基本額を増額したり、逆に減額したりします。

評価対象 主な評価項目 枠への影響
手形の振出人 - 過去の不渡り履歴
- 財務状況(業績、自己資本比率など)
- 信用調査会社の評点
信用力が高いほど、枠は増額されやすくなります。
割引依頼人(自社) - 自社の財務状況(収益性、キャッシュフローなど)
- 借入状況や返済履歴
- 金融機関との取引実績
買い戻し能力が高いと判断されれば、枠は維持・増額されやすくなります。

手形割引を利用する前に知るべきメリット・デメリット

手形割引は便利な手段ですが、利用を決定する前にメリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。自社の状況と照らし合わせ、最適な選択かを見極めましょう。

メリット デメリット
① 早期に現金化できる
数ヶ月先の入金をすぐに事業資金に充てられます。
① 割引料がかかる
額面金額を満額受け取れるわけではありません。
② 融資より審査ハードルが低い
主に振出人の信用力が重視されるため、自社の業績が芳しくなくても利用できる場合があります。
② 不渡りリスクがある
手形が不渡りになった場合、全額を買い戻す義務を負います。
③ 金利が比較的低い
銀行で利用する場合、ビジネスローンなどより低い金利で資金を調達できる可能性があります。
③ 分割での現金化ができない
手形は基本的に分割できないため、必要な金額だけを調達することが難しい場合があります。

メリット:迅速な資金化と融資より低いハードル

手形割引の最大のメリットは、支払期日を待たずに運転資金を確保できる点です。急な支払いや仕入れ資金が必要になった際に、迅速に対応できます。

また、審査では手形を振り出した企業の信用力が重視されます。そのため、自社の決算内容に不安がある場合でも、信用の高い企業が振り出した手形であれば、割引に応じてもらえる可能性が高まります。

デメリット:手数料コストと「不渡り」発生時の買い戻しリスク

デメリットとして、割引料というコストが発生し、手形の額面金額より受け取れる現金が少なくなる点が挙げられます。資金繰りの計画を立てる際は、このコストをあらかじめ織り込んでおく必要があります。

そして、最も注意すべきなのが「不渡りリスク」です。万が一、振出人が倒産して手形が決済されなかった場合、金融機関に代金を全額返済しなければなりません。これは資金繰りを大きく圧迫する可能性があるため、振出人の信用力を見極めることが非常に重要です。

手形割引の枠を将来的に増やし、有利な条件を引き出す3つのポイント

安定した経営のためには、必要に応じて利用できる資金調達の選択肢を確保しておくことが重要です。手形割引の極度枠を維持、あるいは増額するためには、日頃からの取り組みが欠かせません。

以下の3つのポイントを意識することで、金融機関からの信頼を高め、より有利な条件を引き出しやすくなります。

自社の業績・財務内容を改善する
・収益性を高め、健全な財務体質を維持することが基本です。
・定期的に試算表を作成し、経営状況を正確に把握しましょう。

信用力の高い取引先との取引を増やす
・金融機関からの評価が高い企業の振出の手形は、割引がスムーズに進みます。
・新規取引先の与信管理を徹底することも重要です。

金融機関との良好な関係を構築する
・決算書や事業計画などを定期的に提出し、自社の状況を積極的に開示しましょう。
・透明性の高い経営姿勢は、金融機関からの信頼につながります。

まとめ:手形割引の計算式を理解して賢く資金繰りを改善しよう

手形割引は、受取手形を早期現金化し、資金繰りを安定させるための有効な手段です。今回解説した受取額と極度枠の計算方法を理解することで、より計画的に資金調達を進められるようになります。

受取額 = 額面 - (額面 × 割引率 × 日数 ÷ 365)
極度枠 ≒ 平均月商 × 手形比率 × 手形サイト

手形割引を利用する際は、メリットだけでなく不渡りなどのリスクも十分に理解することが大切です。なお、政府は2026年を目途に約束手形を廃止する方針を示しており、今後は電子記録債権(でんさい)への移行が進んでいきます。

将来の資金調達環境の変化にも備えつつ、まずはこの記事を参考に、お手元の手形がいくらになるのかを計算してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

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中屋 弥

職業:WEBコンサルティング会社代表兼最高財務責任者

トヨタ東京カローラ株式会社、株式会社GMOインターネット、その他ITベンチャーにおいて取締役兼財務管理担当などを経て、WEBコンサルティング会社を経営。
現在は経営の傍ら、金融系コラムを寄稿する事を主として活動。

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